7月28日 小学生夏季補習クラス開講、ちょっとその前に・・

高校生対象の学習支援クラスでは、8月はじめにある卒業試験に向けて子どもたちはがんばって勉強を続けています。もう1つの小学生対象の夏季補習クラスは、皆様にご協力を頂いた「ミツロウキャンドルで照らそう 子どもたちの未来」プロジェクトからの寄付金を使って、7月28日(火)から開講します。そこで私たちが行っている教育環境改善プロジェクトの考え方について、少し書いておきたいと思いました。よく頂戴するご質問をご紹介して、それに答える形で私たちの考え方を書いてみようと思います。

フエ市、学習支援教室で教えるフエ大生

質問1:日本人が教えないのですか?
答え1:日本人が直接ベトナム人の子どもたちに指導はしていません。指導役はチュータ―と呼んでいる現地に暮らすベトナム人です。

質問2:日本人が教えられるものを教えないのですか?
答え2:教えていません。私たちは、ベトナムのカリキュラムにある内容を「後から補習する」形式で教えています。

教育の在り方は、国や社会によって異なっています。それがいいかどうかの議論は別にして、その国の中で生きていく上で必要なことが学校教育では教えられます。学校の勉強を理解してより上の学校を目指し学歴を得ることによって安定した仕事に就ける可能性を開くことで、活動地で顕在化している貧困の連鎖を断つ一助にならないかと考えています。そのため、教えるものは「学校で学ぶこと」になります。当たり前ですが、ベトナム語を母語として話せ、ベトナムの学校教育を受けた人が指導役としては適役となります。また、私たちは進学塾がやりたいわけではありません。そのため、カリキュラムを先回りして教えるようなこともしません。あくまでも、補習する形式を取っています。

フエ市のフーハウ小学校の青空図書館で本を読む子どもたち。授業の合間の休憩時間だけ子どもたちは本を読むことが出来るようにしている。そのため、じっくり本を読むという感じではない(2017年3月13日撮影)。

質問3:図書館への本の寄贈をしていると聞きました。日本の中古の絵本を活用したりしないのですか?
質問3:将来的には活用するかもしれんませんが、現在はベトナムで発売されている本のみを寄贈しています。

ベトナムが社会主義の国であることも関係しているのかと思いますが、外国の本を持込むことには大変に面倒な手続きが必要になります。少ない冊数だと大丈夫かもしれないのですが、まとまった数になると検閲を受けることになります。検閲は活動地で行われるわけではなく、日本からの飛行機や船が着くゲート都市で行われます。例えると、関西空港からホーチミン空港までの飛行機で送るとホーチミンで検閲されます。検閲を通過した後の本は、引き取りに行く必要があります。こういったことに対応できるだけのマンパワーが私たちにはありません。ですので、今のところは日本の中古の絵本などの活用は行っていません。状況が変わってくれば、変更するかもしれませんが・・。

現在行っているのは、ベトナムで発売されている本を活動地にある公立小学校の図書館に寄贈することです。図書館に児童数に見合った冊数の本がないことを補いたいと思っています。また、子どもたちが本を読む楽しさを知れたならそれは一生の財産になります。新しい本を手にすることを通して「本を大切に扱おう」と思ってくれることも期待しています。近い将来、「読み聞かせ」や「読書サークル」のような活動も取り入れて、子どもたちに読書の楽しさを知ってもらいたいと考えています。

2019夏季補習クラス、フエ市フーハウ地区

ナショナルスタッフのティエンさんが子どもたちと話しをしている様子。子どもたちにリラックスして勉強してもらう雰囲作りも大切であると考えています(2019年6月撮影)。

質問4:(7月28日に開講する)小学生夏季補習クラスに通ってくる子どもたちはどんな子たちですか?
答え4:活動地にある公立小学校1年を終了して読み書きに課題ある子たちです。

私たちの小学生夏季補習クラスは、活動地にある公立小学校と協働して行います。この7月に小学校1年生を終了したにも関わらずベトナム語の読み書きに不安があり、かつ、家庭に経済的な課題がある児童を学校側に選んでもらいました。加えて、夏季補習クラスの期間中に児童の家庭訪問を行い家庭環境(親の学歴、家に勉強スぺースがあるか、など)についても記録する予定です。尚、この夏季補習クラスの実施報告は、活動地の公立学校を通じてフエ市教育室(日本の教育員会)に提出することを目指しています。

フエ市、学習支援教室、教えている様子

2019年小学生夏季クラスの授業風景。3期生には、正しいベトナム語の発音が身についていない子どもが多かった。チューターは発音練習にもなった(2019年7月撮影)。

質問5:日本で使わなくなったえんぴつやペンをベトナムで使ってもらえませんか?
答え5:ありがたいお申し出ですが、お受付していません。

質を問わなければ、安価にノートもペンもある状況ですので、日本で使わなくなった筆記用具をお預かりして現地で活用することは行っていません。学習支援教室に通って来る子どもたちの親たちには「自分たちで出来ることは自分たちでする」ことをお願いしています。教科書、ノート、ペンなどを揃えることが親のすべきことの範疇かと思っています。そして、活動地のベトナムやフエ市ならではのこともあります。ベトナムでは小さな時から、ボールペンを使うことが標準的で鉛筆やシャープペンシルをあまり使いません。また、フエ市は大変に湿気の高いところで、日本で使っているボールペンの中には書きづらくなるものがあります。日本のものが必ずしも利用できるわけでないこともご理解頂ければと思います。

今回は以上です。

[変更履歴]

●2020年07月20日 調整事項があり開講日を23日から28日に延期しました。

投稿者プロフィール

高木佳子(Takagi Yoshiko)
高木佳子(Takagi Yoshiko)風人土学舎 日本事務局担当
ベトナムのフエ市在住歴延べ6年。風人土学舎では、日本の事務局業務とフエ市での活動全般のコーディネーションを担当しています。