学びでつなぐ~絵本の翻訳・読み聞かせ~、第2フェーズへ

久しぶりにホームページを更新いたします。日本事務局が、確定申告や年度末・年度初めの作業に追われていた間も、活動地であるベトナム中部・フエ市のメンバーたちはナショナルスタッフのティエンさんを中心に本当にがんばって活動してくれていました。その活動の報告は順次、公開していきたいと思います。

さて、今回のご報告は2021年4月より開始した「学びでつなぐ~絵本の翻訳・読み聞かせ~」のご報告です。この活動は、フエ外国語大学日本語・日本語文化学科(以下、フエ外大)の先生や学生さんと協働してきました。これまでに約80冊の日本から送った絵本をベトナムに翻訳し、翻訳した成果は風人土学舎がフエ市のフーハウ地区で運営している学習支援教室での読み聞かせに活用してきました。

2回目の絵本の到着、ベトナム・フエ市

日本から届いた絵本の箱を開けたところ。絵本の翻訳会は毎週土曜日に行っている。場所は、ナショナルスタッフのティエンさんのお家でやっているカフェやメンバーの集まりやすい場所で行うようにしている。先ず、実際に、触ったり、眺めたりしてもらうことで感じることがあると思っている(2021年10月撮影)。

この活動の中で、いくつかの発見がありました。

1つは、ベトナムの大学生の忙しさ、です。大学の授業や行事に追われている学生さんたちが多く、翻訳はしてもらえても「絵本を深く読み込む」ことまで発展させることが出来ませんでした。私たちの教室での読み聞かせ活動を担っているには、翻訳作業をしてくれていた学生さんたちとは別の現地の大学生なので、「より深く意味を知ることにより、子どもたちへの読み聞かせがしやすくなる」様子が感じられました。なので、表面的に訳すのではなく、より深く意味を理解して、よりよい読み聞かせ活動に育てていきたいと思うようになりました。

もう1つは、フエ外大の学生さんたちの「本当の希望」に私たちは応えられそうになくなってきたことです。学生さんたちの多くは日本への留学機会や日本人学生との交流を希望されていることを感じていました。私たちも関係する日本の私立大学の学生さんたちとの正式な交流を模索していたのですが、日程調整などに手間取ってしまいうまく軌道に乗せることができませんでした。がんばってくれている学生さんたちの「本当の希望」に応えられないことが心苦しくなってきました。

そのため、フエ外大と協働する形式は、これまでにフエに送ってきたものも含む100冊の日本の絵本(一部は児童書)をフエ外大に寄贈することし、2023年5月をもって終了することといたしました。これまで協働してくれたフエ外大の先生、学生さんたちには本当に感謝しています。

読み聞かせ、フエ市・ベトナム

チューターが子どもたちに絵本の読み聞かせをしている様子。子どもたちに様子からお話に関心を持ってくれていることが分かる。この関心が本を好きになる気持ちや勉強をしたいと思う気持ちに結び付いてくれることを願っている(2021年8月撮影)。

これからの話です。風人土学舎のホームページの記事は、Facebookでフォローするようにしています。記事によっては、ティエンさんが自分のFacebookでフォローした上でベトナム語に訳してくれたりもしています。その記事を読んだフエ市に暮らす日本語学習者やフエ省に関係する団体の方たちが、この活動に関心を持ってくれていることもわかりました。そのため、大学生にとどまらず、日本や日本文化に関心のあるフエ市民の有志の方たちとつながって活動をしていきたいと思っています。

日本の絵本を翻訳する勉強会を開くことで日本や日本語を知ってもらえるように、絵本を翻訳した成果がベトナムの子どもたち(特に経済的に課題のある家の子どもたち)を対象にした読み聞かせ活動に活かせるように育てていきたいと思っています。

読み聞かせ、フエ市・フーハウ地区

日本語の絵本を勉強として翻訳してくれたのは、フエ外大日本語科の学生さん。その成果を子どもたちに読み聞かせてくれているのは、フエ大学教育学部の学生さん。学びをつないで、子どもたちが「本が読める喜び」を知って欲しいと願っています(2021年7月撮影)。

より大きな支援の輪、交流の輪をつくっていけるようにがんばりたいと思います。「学びでつなぐ~絵本のミニトライアル~」第2フェーズ。「2つの国の市民交流」となるように、日本での活動展開にも力を入れたと思っていますので、よろしくお願いいたします。

投稿者プロフィール

風人土学舎 日本事務局
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