ベトナムでの新型コロナウイルスのこと

チャンティエン橋と火炎樹

チャンティエン橋と火炎樹

日本でも新型コロナウイルスの話題でもちきりの状況ですが、風人土(かぜひとつち)学舎の活動地であるベトナム中部・フエ市でも日常生活に影響が出ている様子です。日本事務局では、フエ市で暮らすナショナルスタッフのティエンさんと頻繁にメールやFacebookのメッセンジャーでやり取りをしています。旧正月のころから、活動のことに加えてこの新しいウイルスのことを話題にすることが増えました。

そこで、ベトナムはどのような様子になっているのか、一般市民であるティエンさんの立場から回答してもらいました。

質問1:ベトナムでは新型コロナウイルスに感染したベトナム人は何人と報道されていますか?

ティエンさんからの回答1:
ベトナムでは1月後半に感染者数が報道され出しました。感染者数は16人と報道されていて、各地の病院で治療を受けて全員治って退院したと発表されています。現在、感染が広がっている韓国にベトナム人の労働者が22,000人います。その内、感染確認ができた人数は1人です。この数日、首都ハノイとホーチミン市の空港は韓国からの帰国者で大混雑しているそうです。感染地域から入国した人として隔離されることになっています。2月29日現在、隔離者数は6,200人となっています。併せて、2月29日現在、感染疑いのある人は105人と発表されています。

 

質問2:ベトナムではテト(旧正月の意味。今年は、2020年1月25日が旧正月1日でした)休み明けから幼稚園から大学まで休校の措置が取られています。いつまでこの休校が続く予定でしょうか?

ティエンさんからの回答2:
町によって対応が異なっています。フエ市では、幼稚園から中学校までは3月8日まで、短期大学と大学は3月16日までの休校が決まっています。高校だけが3月2日から再開されました。

 

質問3:トゥアティエン・フエ省人民委員会(以下、フエ省人民委員会、注1)はどのような対策を発表していますか?

ティエンさんからの回答3:
私たち住民の暮らしに直接関係することとしては、新型コロナウイルスの感染が報道され出した頃からマスクが買えなくなることを不安に思っていました。その不安に応えるために、フエ省人民委員会は、布のマスクをフエ省内にある縫製工場に発注しました。そして、十分に数はあると発表して住民を安心させました。また、マスクを本当の価格より高く販売した薬局に対して罰金を科しました。このことでも、住民である私たちは安心を得ることが出来ました。

フエ市の大切な産業は観光業です。フエではまだ感染者が出ていないことをメディアもフエ省人民委員会もアピールしています。加えてベトナム全体で取られている措置として、空港など出入国地点で入国してきた人を対象に体温を測り、発熱など症状が確認できたら軍隊の協力で用意してある仮説施設で14日隔離する処置を取っています。

 

質問4:町の様子は変わりましたか?

ティエンさんからの回答4:
一番目立って変わったことは、飲食店やレストランにお客さんがいなくなったことです。そのため、先行きを不安に思う経営者たちの中にはスタッフを解雇する人も出始めています。特に、ホテルでスタッフを解雇する動きが出ています。ベトナム全体の話になってしまいますが、ベトナム航空会社は乗客が減ってしまったため、2万人の職員に影響が出るだろうとは発表しました。また、私立の学校や幼稚園なども休校になっていますから、教師や職員に給与が支払われないという話もあります。

 

質問5:ティエンさんの暮らしにはどのような影響が出ていますか?

ティエンさんからの回答5:
私は市場以外、レストランなど人が沢山集まっているところは行かないようにしています。そのため少し生活がさみしくなり、不便さも感じています。また、息子の学校が休みなのでゲームをしすぎていることも気になっています。(ティエンさんは、日本語通訳の仕事と家ではご家族と一緒にカフェの経営もされているのですが)仕事にも影響が出ています。2月の通訳依頼は全てキャセルされました。カフェの方は常連のお客さんたちがいらっしゃるのでまだ大丈夫ですが、屋外の席に座る人が増えた気がします。

 

質問6:学習支援クラスの関係者と新型コロナウイルスについて話をしましたか?

ティエンさんからの回答6:
クラスのチューター先生は、何よりも生徒達の学力低下が不安だそうです。クラスに通ってきている高校生たちは、不安などは感じていないようです。しかし、一人の生徒はお母さんが売っている食べ物が毎日余るようなったと話していたので、不安に思っているかもしれません。

 

日本の状況と似たようなところ、行政の動きで違うことがあることなど、お分かりいただけたかと思います。私たちの学習支援クラスは、子どもたちの健康面を気にしながら開いています。早くこのウイルス感染が終息していくことを願っています。

 

[注1]人民委員会:日本でいう行政機関です。

投稿者プロフィール

Team Hue
チーム フエは、ベトナム中部のフエ市在住歴約6年の高木佳子とフエ市生まれのフィン・ティ・トゥイ・ティエン、そしてフエで暮らす高校生や大学生たちで構成されています。フエ市のことやベトナム人の暮らしの様子を写真や動画を添えて発信していきます。ご質問や「こんなことが知りたい!」というリクエストも受け付けております。