Team Hue~【食】ローカルフード①ベトナム・フエの’粉もん’バイン料理
~この記事は、風人土学舎のFacebookの2019年10月3日公開の記事のリライトです~
風人土(かぜひとつち)学舎の活動地であるベトナム中部のトゥアティエン・フエ省の主な産業は、観光産業です。日本と同じくインバウンドからの得られていた収入は大きく、新型コロナウイルスのパンデミックを受けて大きな打撃を受けています。そこで、ベトナム事務局のティエンさんとも相談して、フエの食や見どころも紹介していこうと決めました。記事を読んで頂いて現地に行った気分になって頂ければと思います。そして、新たな気持ちで海外旅行に行けるようになった時に、是非、フエにお越し頂けたらと願いを込めたいと思います。
5月21日にこのホームページに公開した「Team Hue~ベトナム・フエから高校生が発信します~②」のブン・ヘン(しじみの麺)もフエでは、庶民の味として大変にポピュラーです。ブン・ヘンの写真を見た日本在住のベトナム人の知り合いから「食べたい!」、「フエの食べ物が恋しい!」とたくさんのメールやメッセージが個人的に届きました。高校生が撮ってくれた写真が上手だったように思います。そして、誰もが故郷を味を恋しくなるものです。今回紹介するローカル・フードもなかなか日本で食べることの出来ないフエの庶民の味、「バイン料理」です。正式に「バイン料理」というものがある訳ではありません。今回ご紹介するお料理には、すべて「バイン(越語:Bánh)」という単語がついているのでここではそう呼ぶこととします。
「バイン」とは、「粉を液体で溶いた形状のもの」の前に付く言葉で、どれもが、「粉を溶く」という工程あるものであることを示しています。お菓子の名前や石鹸という意味の単語にも「バイン」という単語が付きます。バイン料理は「粉もん」料理と言いかえられそうです。
先ず、代表的なのが、Bánh bèo(バイン・ベオ)。
米粉で作られた生地を小さな小皿に注いで蒸したものです。エビのでんぶと豚のアブラを揚げたものが乗っています。写真のようにフエでは、お盆に乗って出てきます。「お盆1つください」というように、お盆単位でオーダーします。上の写真のお盆に乗っている小さなお茶碗には、つけダレが入っています。スプーンでつけダレをかけながら食べます。ベトナムの他の地域では、もう少し1つのサイズの大きなものが小皿を外した状態で売られるのが一般的です。フエの人たちは「フエは王宮があった場所だから、なんでもお上品に小さなサイズで出すんだ」と言っています。
次は、Bánh Nậm(バイン・ナム)とBánh (bột) lọc(バイン・(ボ)・ロック)です。
バイン・ナムとバイン・ロックは、どちらもバナナの葉で包んで蒸されています。先ず、バイン・ナムの中身は下の写真です↓。
こちらも米粉の上にエビのすり身が乗っていて蒸されています。ベトナムの魚醤であるヌックマム(越語:Nước mắm)を水で薄めて唐辛子を刻んだものを加えたタレをかけて頂きます。
次にバイン・ロックの中身は下の写真です↓。
バイン・ロックの生地はタピオカ粉から作られます。そう、日本でも大流行したタピオカを作る粉と同じ粉から作られます。タピオカ粉とは、キャッサバという塊根(でんぷん質を蓄えた根が丸く膨らむ植物)を食べることができる植物から作ります。キャッサバはベトナムで一般的な食べ物で、お芋のように蒸して食べたりもします。このキャッサバの根(根といってもお芋のように丸く膨らんで見えます)を水に溶かしながら崩して、繊維質を濾し水に溶けだしたでんぷん質を乾かして粉にしたものがタピオカ粉です。タピオカ粉で作られているので、食感はモチモチしています。バイン・ロックをバナナの葉から外して手に取ったところが下の写真です↓。
エビが中に入っています。お店によっては、エビと一緒にキャッサバを四角く切ったものも入っています。お好みによって、つけダレに浸して頂きます。
最後は、bánh ram ít (バイン・ザム・イット)です。
バイン・ザム・イットは、ブタのアブラを揚げたものの上にモチ米粉を練った生地を乗せて蒸します。さらにエビのでんぶをトッピングします。これもお好みによってつけダレをかけて頂きます。ブタのアブラを揚げたもののサクサクとした食感とモチ米生地のモチモチした食感が絶妙です。ただし、アブラとモチ米なので油断すると確実に太りますので注意が必要です。
どの料理も、バイン料理専門のお店で食べることが出来ます。行きつけのお店を持っている人が多く、生地の柔らかさや付けダレの味など、好みが分かれます。また、食事というよりはおやつとして食べる感覚なので、道や市場の近くで売り歩かれています(最近は、売り歩く人の姿が減ってきましたが)。バイン・ロックは、ビールにとっても合うので男性にも人気です。
フエにお越しの際には、是非、お試しください。
(この記事の中の写真はすべて、日本事務局・高木佳子による撮影です)
投稿者プロフィール
- チーム フエは、ベトナム中部のフエ市在住歴約6年の高木佳子とフエ市生まれのフィン・ティ・トゥイ・ティエン、そしてフエで暮らす高校生や大学生たちで構成されています。フエ市のことやベトナム人の暮らしの様子を写真や動画を添えて発信していきます。ご質問や「こんなことが知りたい!」というリクエストも受け付けております。
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