Team Hue~ベトナム・フエから高校生が発信します~②

Team Hueは、風人土(かぜひとつち)学舎の日本事務局・高木とベトナム事務局・ティエンさん、活動に関わる仲間たちで作っているグループです。前回に続き、私たちがフエ市で行っている学習支援教室に通う高校生が撮った写真を使って彼らの暮らしを紹介したいと思います。

田中さんのブログ「道端の小商い(1):アジアの旅の途上で」(2020年5月18日更新)には、たくさんの道端で行われている小さな商いの様子が出てきました。私たちのクラスに通っている高校生たちの母親も道端や市場にある屋台でがんばっています。大きな市場の前の道でプリン(ベトナムではプリンのことを「bánh flan(読み方:バイン・フラン)」、「kem flan(読み方:ケム・フラン)」と呼び、よく食べられます)を売っているお母さん、中央市場の脇にある道でお花を売っているお母さん、川沿いに出る夜市でお土産物を売っているお母さんがいます。また、卸売市場の中に小さな屋台のためのスペースを借りてそこで食べ物を売っているお母さんもいます。今回紹介する写真とキャプションは、ある高校生のお母さんが屋台で売っているものと彼の思いです。

 

キャプション「これは母の屋台のしじみ麺です。からいですが、安くて美味しいです。母の屋台で私達が育てられています。ありがたいです。」

しじみごはん、ベトナムフエ市

「これは母の屋台のしじみ麺です。からいですが、安くて美味しいです。母の屋台で私達が育てられています。ありがたいです。」

 

しじみ麺は、フエ市では「Bún hến(読み方:ブン・ヘン)」と呼ばれます。ヘン(hến)は、ベトナム語でしじみの意味です。ブンは米粉で作られた麺で、フエ市で最も一般的な麺です。ベトナムの麺というとフォー(越語:phở)を思い浮かべる方が多いと思いますが、ベトナムは地域によって麺の形状や材料が異なります。そのことは、また別の機会にご紹介したいと思います。話を戻しましょう。麺の上に、茹でたしじみのむき身、パクチーなどの香草、バナナのつぼみ、砕いた煎りピーナッツ、ブタの皮を揚げたものトッピングします。それにしじみを茹でた時に出たスープをかけて食べます。写真にも写っていますが、フエの人は辛いものが大好きなので唐辛子もたくさん振りかけます。麺をごはんにすることも出来ます。ごはんの場合は「Cơm hến(読み方:コム・ヘン)」と呼ばれます。コム(Cơm )は、ベトナム語でごはんの意味です。朝ごはんに食べられることが多いです。

このお母さんのコム・ヘンとブン・ヘンは、1杯が5,000から6,000ベトナムドン(24から28円、※レートは全て参考1の通り)です。1日100杯くらいを売ります。1杯あたり、2,000VND(9円)の儲けが出る、と聞いています(参考2)。参考までに、ベトナム政府の定めるフエ市に最低賃金は、3,920,000ベトナムドン(18,587円、参考3)です。

商いの準備、フエ市、しじみご飯屋

お母さんは、市場の小さなスペースまで下準備した食べ物と道具、食器、机や椅子をシクロで運ぶ(2019年、高校生本人による撮影)

このお母さんがコム・ヘンとブン・ヘンを売っている場所は、フエ市第一中央市場という卸売市場の中にある小さなスぺースです。卸売市場で働く人や買い付けに来る人たちを相手にした商売なので大変に朝早くお母さんの1日は始まります。午前1時から2時の間に、商いに必要な道具をシクロと呼ばれる椅子のついた自転車(下の写真)に積んで自分のスぺースまで運びます。上の写真で、小さな背中が見えるのが高校生のお母さん。お母さんの左側に見えるのがスープを温める鍋、その横のポリタンクはスープを運ぶのに使われます。テーブルの上にあるお箸とスプーン、たくさんのビニール袋の中にはブンやごはん、トッピング用の具材が種類別に入っています。テーブルや椅子も含めてこれらすべてをシクロに積んで、この小さなお母さんが運んでいます。男性のいる家だと男性が売り子である女性と道具一式を商いの場所までシクロで連れていくのが一般的ですが、この高校生の家は母子家庭なのでシクロで道具を運ぶものお母さんの仕事です。

シクロは荷物も運ぶ、ベトナム・フエ市

シクロと呼ばれる自転車に椅子がついた乗り物は、人も運ぶが荷物も運ぶ(2016年9月撮影、高木佳子)

スープがなくなれば、その日のお仕事はおしまい。次の日の材料を買って家に帰るのはお昼前。少し仮眠をとってからスープの仕込みなど翌日の準備を始めて、夕方ごろにもう一度寝てから家族で夕飯。細切れの睡眠と次の日の商いの準備、早朝から市場での商い。これが、この高校生お母さんの1日です。

家庭訪問に行くと高校生がよくお母さんの仕事を手伝っている様子がわかります。お母さんはそれよりも勉強をして欲しいと思っています。高校生の年齢で親の仕事のことを「ありがたい」と思えるのは、財産だと思います。

[ 参考 ]
1.1円=210.79ベトナムドン(2020年5月20日、Vietcom Bank のホームページ参照)
2.風人土学舎による学習支援教室に通うこどもの世帯調査の結果より(2019年)
3.2020年の最低賃金に関する政令90号(90/2019/ND-CP)( JETRO,「2020年の最低賃金を公布、平均引き上げ率は5.5%」,2019年11月21日)

投稿者プロフィール

Team Hue
Team Hue
チーム フエは、ベトナム中部のフエ市在住歴約6年の高木佳子とフエ市生まれのフィン・ティ・トゥイ・ティエン、そしてフエで暮らす高校生や大学生たちで構成されています。フエ市のことやベトナム人の暮らしの様子を写真や動画を添えて発信していきます。ご質問や「こんなことが知りたい!」というリクエストも受け付けております。