児童労働のこと

ホティンタム、フエ市

フエ市の旧市内にあるホティンタム’(直訳するとテインタム湖)。蓮の花も売られるが実も特産品として売られている。夏には取れたての実をもち米と一緒に蒸したおこわも楽しむことができる(2012年5月撮影)。

ガーナのカカオ農場で働く子どもたち、フィリピンのスモーキーマウンテンでゴミ拾いをして生計を立てている子どもたち・・・、児童労働の一例としてよく取り上げられます。私たちの活動地であるベトナム中部のフエ市でも働いている子どもを見かけます。

ピーナッツ売り
私たちが運営する学習支援教室で学んでいる子どもにも、ピーナッツ売りをしている子どもがいます(詳しくは「20223月活動報告」をお読み頂けるとうれしいです)。小袋に入れた茹でたピーナッツを売り歩く仕事です。食堂やビアホイと呼ばれる居酒屋に勝手に入っていき、食事をしている客のテーブルを回ってピーナッツを売ります。決してきれいではない身なりの子どもが店の中のウロウロするものですから、お店の人たちは子どもらを追い払います。でも、生活がかかっているので、彼らもお客が買うまでテーブルを離れようとしません。大体一袋が5,000ベトナムドン(約27円)ほどの商売です。外国人だと10倍くらいの値段をふっかけてきます。

 

家族や親せきの出稼ぎについて行く
夏休みなどの学校の休みの時期に親や親族が出稼ぎに行っているところに行く子どもたちがいます。フエの人の場合、南部の工業地帯や国境を越えてラオスに出稼ぎに行く人が多いのですが、遊びに行くのではなく行った先で働く子どもたちがいます。小さな規模の縫製工場であったり、道端で何か物を売る仕事であったりします。

 

蓮の実をむく仕事 
フエ市にはいくつかの池があって4月ごろから夏まで蓮の花がきれいに咲きます。お花も売られていますが、蓮の実やお茶も特産品として売られています。蓮の実を取り出してむく仕事はフエ市の下町、特に女性たちの内職の1つです。子どもも母親たちに交じって蓮の実を剥く仕事をしている姿を見かけます。

 

母親の仕事を手伝う
母親が家で調理した食べ物を路上で売ったり、市場に卸したりしている場合、母親の家での作業を学校から帰った子どもが手伝っているケースもあります。

 

ピーナッツ売りの子は夜中まで働いて朝起きられないから学校に行かなくなるケースがあります。出稼ぎに行く子はフエに帰ってこなくなるケースがあります。蓮の実のむく仕事はナイフで手を傷つけてしまうことがあります。家でのお手伝いならいいのでは?と思われがちですが、勉強時間や同年代の子どもと遊ぶ時間が奪われることになります。

 

一人でも多くの子が、子どもらしくいられる時間を過ごせることを願っています。

投稿者プロフィール

高木佳子(Takagi Yoshiko)
高木佳子(Takagi Yoshiko)風人土学舎 日本事務局担当
ベトナムのフエ市在住歴延べ6年。風人土学舎では、日本の事務局業務とフエ市での活動全般のコーディネーションを担当しています。