知りたいのは人々の思いや暮らし③

前回からの続きです。前回の記事で囲炉裏の説明に使った写真がありました。実のいい具合のものなので少し説明したいと思います。

少数民族の家の囲炉裏、ベトナム

囲炉裏の火や煙は上手に活用されている。

上の写真の①から順番に説明したいと思います。①は背負子(下の写真が背負子の部分だけを撮影したもの)。薪や山菜などを集めに山に行く時に使われている生活道具です。単純に囲炉裏の上の部分が空いているので置き場として有効活用しているようでもありますが、ここに置くことで煙によって虫がついていたら燻されます。

少数民族の背負子、ベトナム

薪や山菜とりのために山に行く時に使われている生活道具。

②は囲炉裏で燃やす薪です。山で拾ってきたものを乾かしています。

③の部分に近づいて撮影したのが下の写真です。

少数民族の囲炉裏の活用、ベトナム

川魚が燻製にされています。

川で獲った魚を網で挟んで燻製にしています。魚の代わりに動物の肉を燻しているのを見たこともあります。保存食に出来るので本当に便利です。

④は陸稲の籾。近づいて撮影したのが下の写真です。

陸稲の籾。乾燥させて保存する。

竹で編まれた目の詰まったザルに乗せられています。天日で干した後、囲炉裏のそばにおいてさらに乾燥させます。この竹で編まれたザルも手づくりです。自分で編んでいる人はこの集落では本当に少数でした。

⑤は猫。日本では「猫はこたつで丸くなる」ですが、ベトナムでは囲炉裏のそばで丸くなってました。

囲炉裏の脇に猫、ベトナム

幸せそうに寝てました。

こういった伝統的な家は、姿を消してきています。理由はいくつもあって、森で材料となる木や草などが見つけられなくなってきたこと、森林保護のため見つけたとしても採取出来ないこと、防災のために日干し煉瓦やコンクリート、トタンなどを使った家を建てることが地方政府によって推奨されていることなどが上げられます。でも、お年寄りたちは、このスタイルの家が大好きな様子でした。暮らしの知恵が詰まっているから大好きなのかな、と思っています。

☆☆この記事の写真の著作権はすべて風人土学舎にあります。連絡なき転用・転載は固くお断りいたします☆☆

投稿者プロフィール

高木佳子(Takagi Yoshiko)
高木佳子(Takagi Yoshiko)風人土学舎 日本事務局担当
ベトナムのフエ市在住歴延べ6年。風人土学舎では、日本の事務局業務とフエ市での活動全般のコーディネーションを担当しています。