フエ市の洪水の様子~2007年撮影の写真を使って~(ベトナム・フエ市)
大変な雨が九州を中心に日本中の多くのところで降り続きました(過去形で言えない場所もあることと思います)。被災された方には、1日も早く生活が戻って来られることを願っています。ずっと降り続く雨の音を聞いていると思い出したのは、私たちの活動地であるベトナム中部・フエ市の雨季の様子でした。「東南アジアの雨季」と聞くと、スコールを思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。ベトナムは南北に長い国土を持つ国なので、南部ではスコールが降るような雨季があります。しかし、フエの雨季はそれとは違って、長く雨が降り続くというものです。今回日本で降り続いたような雨が例年9月後半から12月の初めごろまで断続的に降り続きます。あらゆるものがカビ、太陽を見ることが出来ない日々が続くのでなんとも言えない重い気持ちになったこともありました。現在ではトゥアティエン・フエ省の山間地で水力発電用のダムが稼働しているためフエ市内が洪水に見舞われることは本当に少なくなりましたが、以前は年に数回、市内の多くの場所が浸水する被害にあってきました。
今回は、フエ市の洪水の様子を私が暮らしていた頃に撮影した写真を使いながら紹介したいと思います。
フエ市内の中央を流れるフォーン河は普段はきれいな水の流れる河で、川辺は市民の憩いの場になっています。下の写真は、このホームページの写真ギャラリーにも紹介しているフォーン河で行われるボートレースの様子です(2008年撮影)。
上の写真から、護岸工事がされていないことがわかります。大雨が降り続いたり、台風に襲来されると河を流れる水量が増し川幅が広がったようになります。実際に、2007年の洪水前に撮影したフォーン河の写真が下の写真です。
河の水は段々と市内に流れ込んできて、下の写真のようになりました。通りによって高さに違いがあり、川のようになってしまう通りと比較的問題がない高さの通りがありました。下の写真の程度の浸水であれば、まだ車もバイクも走ることが出来ます。
だんだんに市内に流れ込んでくる水の量が増えると床上まで浸水してきました。下の写真は、当時私が暮らしていたミニホテルが床上浸水した時に撮影したホテルの前の様子です。このような感じで、川の中に家屋が建っているような状況になりました。
下の写真は、フォーン河の支流があふれてしまっている様子です。写真の手前に丸い街灯があるのがわかります。右側に生えている木は街路樹です。この街路樹の右側に歩道があり、そのさらに右が支流となります。支流側に見えるのが水上生活者のボートです。支流と反対側の家々も浸水していることがわかると思います。
こんな状態になるとバイクも車も使えませんし、歩くことも危険になります。そうすると上の写真の真ん中あたりに写っているような小舟が移動手段として用いられます。実際、フエ市内の商店や学校、一部の一般の家にもこういった舟を備えているところがありました。そのように備えるくらいフエの人たちは洪水に見舞われていたということです。
雨が止み市内の水が引き出すと、後には水が運んできた泥が残されます。下の写真は、子どもたちが裸足で泥の上を歩いている様子です。この泥が本当に重たいものでした。写真では自転車に乗っている男の子が写っていますが、私は自転車を漕ぐことが出来ませんでした。泥の中には何が紛れているかわからないので裸足で歩くことは危険なのです。しかし、ビーチサンダルも泥にとられてしまうので裸足になって歩いている人を多く見かけました。
この泥は、行政によって手配されたトラックで回収されて海に投棄されていました。
この泥が本当にやっかいで、乾くと粉塵となって市内を漂うのです。友人はこの粉塵のおかげで結膜炎になりました。のどの調子を悪くする人も多かったように思います。私は何かあると肌に出るタイプなので、腕や足に赤いブツブツができました。一応、トラックでの泥の回収が終わると放水車が町中を回っていました。ただし、細い道などは入ることができません。そのため、放水車が積んでいる別のホースを貸してもらい自分たちで道に残った泥を洗い流したりもしました。下の写真は、私が暮らしたいたミニ・ホテルの前を水できれいにした時のものです。
水力発電ダムのおかげで少なくなったフエの洪水。気候変動でまだ頻発するようなことがないように願っています。
投稿者プロフィール
- ベトナムのフエ市在住歴延べ6年。風人土学舎では、日本の事務局業務とフエ市での活動全般のコーディネーションを担当しています。
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