発音できると書ける、書けると発音もできる~声調言語のベトナム語~

夏季補習クラス・フエ、ベトナム

夏季補習クラスの様子。活動を協働して行っている公立小学校の先生とフエ大学の学生(私たちはチューターと呼んでいます)が二人三脚でベトナム語の授業を行っています(2021年8月撮影)。

日本の新型コロナウイルス感染第5波。オリンピックがあったことすら幻に思えるような勢いです。皆様が安心、安全なところで過ごされることを願っております。私たちの活動地があるベトナムも大都市では、地区を封鎖したり、隔離をしたりといった厳しい措置が取られていますがその外では感染が広がっている様子です(「新型コロナ:14日の市中感染9710人で過去最多、第4波の市中感染者26万人超・死者5402人に(14日発表)」Vietjo, 2021年8月14日)。幸いなことに、活動地のあるフエ市ではロックダウンなどの厳しい措置は取られていませんが、感染経路不明の感染者も出ている様子です。そのため、健康と安全第一で、当局の指示にも従い活動を継続しようと考えています。

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現在、活動地であるベトナム中部のフエ市で、この9月に小学2年生に上がる児童で家庭になんらかの課題がある子を対象とした夏季補習クラスを運営中です。母親がタイに出稼ぎに行っていたり、父親が無職だったり、親が早朝から働いているため朝ごはんはいつも一人で食べている子がいたりと様々です。どの親も懸命に子育てをしていますが、子どもと生活時間が合わなかったり、学習経験に乏しかったりで、なかなか子どもの勉強の面倒を見るまでの余裕がないように感じます。短い動画ですが、クラスでの発音練習の様子をFacebookに公開しました。こちらをクリック頂くと、Facebookにある風人土学舎のページに飛びます。

 

ここからは、日本事務局・高木のベトナム語学習を通じて感じていることです(レベルは、暮らすのに困らない程度です)。ベトナム語は中国語と同じ声調言語に分類されます。私はベトナム語の先生に「発音が出来ると通じるようになる」と言われました。逆に言うと「発音できないと通じない」のです。そもそもベトナムでは漢字が使われていたのですが、フランス人宣教師がアルファベットで表記できるようにし、今では漢字を読める人は極々わずかです。また、アルファベットで表現できない音には、一定のルールで記号をつける方法で字が作られました。一つ一つの文字や、いくつかのよく出てくるアルファベットの組み合わせがきちんと発音できるようになると「話せるようになった」と実感できるようになりました。

 

どうも補習クラスに通ってくる子どもたちは、この「発音」がしっかりしていない様子です。また、「読めない=発音ができない」でもあります。きっと学校で勉強した「正しく読んで、正しく発音する」ということを家でも練習出来ていたら、小学校1年生が終わったのに、ベトナム語のアルファベットを覚えきれていないということは起こらないのかな・・と思ったりしています。

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9月から、夜間の学習支援教室を再開することにしました。折角、小学校に行っているのだもの、最低限の読み書きと算数は身に付けて欲しいと思っています。ですので、小学校1年生の成績ががんばろうだった小学校2年生を対象にすることにしました。指導役(私たちはチュータ―と呼んでいます)は、フエ大学の学生とフエ観光短期大学の学生、全員で4名。学生たちが、クラスに通ってくる子どもたちや子どもたちの親と接し、切磋琢磨する中で成長していく様子も見守りたいと思っています。

投稿者プロフィール

高木佳子(Takagi Yoshiko)
高木佳子(Takagi Yoshiko)風人土学舎 日本事務局担当
ベトナムのフエ市在住歴延べ6年。風人土学舎では、日本の事務局業務とフエ市での活動全般のコーディネーションを担当しています。