~2021年夏季補習クラス~人の輪を広げること

夏季補習クラス、フエ市・ベトナム

夏季補習クラスの様子。子どもたちが飽きないように、外に出て絵本の読み聞かせなども行っている(2021年7月撮影)。

今年も始まったフエ市フーハウ地区での夏季補習クラス(以下、補習クラス)。ベトナムは9月から新学期が始まり、5月末から6月はじめに学年末となります。補習クラスの対象は小学1年生を終えたのにベトナム語の読み書きが不安定な子や算数の勉強に追い付けていない子どもたちです。どうして、学校に行っているのに読み書きが不安定(はっきり言ってしまうとベトナム語のアルファベットさえはっきり覚えられていない)なのかには、いくつか理由が考えられます。

●子どもが親と一緒に働いて家計を助けている

●親が子どもの勉強をみてやれない(生活時間の問題、出稼ぎなどので家を不在にしている、親の学習経験が少ないもしくは学校に行ったことがない)

●家に学習のためのスペースがない(大家族で小さな家で暮らしている)

●家の周りの環境がうるさい(カラオケ、違法ギャンブルなどに興じる場所が近所にある)

●ベトナムの経済が成長するにつれ人口が増加。子どもの人口増加、就学率の上昇を受けて学校の先生たちが大変多忙になっている

上に挙げたような理由は一部であり、様々な理由が絡み合って子どもたちの学習に影響が出ていることが考えられます。どんな子も教育的な環境で育つことが出来るようにしたい、そのために大きなことは出来ないけれど、小さなことを続けていきたいと願っています。

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この補習クラスは、フーハウ地区にある公立小学校の先生たちと協働で運営しています。メインで教壇に立つのは、フーハウ小学校の現役の先生です。

 

夏季補習クラス、フエ市・ベトナム

夏季補習クラスの様子。教壇にメインで立つのは、公立の小学校の先生。真剣に子どもたちと向き合ってくれている(2021年7月撮影)。

 

先生のサポートをするのは、フエ大学の学生です。私たちの活動では、チューターと呼んでいます。発音練習や書き取りの練習に付き合ったり、本の読み聞かせをしたり、先生と子どもたちのサポートをします。ベトナムで「先生」は尊敬の対象(「先生の日」という先生に感謝する日があるくらいです)なので、子どもたちの中には「先生=こわい」と思っている子もいます。そんな子にとって、チューターがお姉さん、お兄さん的存在になってくれると、緊張することなく学習に取り組めるようになるのでないかと考えています。

 

夏季補習クラス、フエ市・ベトナム

夏季補習クラスの様子。チューターは個別の発音練習や書き取り練習にも付き合う。子どもたちだけでなく、チューター自身も活動を通じて成長していってくれることが大変に興味深い(2021年7月撮影)。

 

週に1回以上、私たち風人土(かぜひとつち)学舎の事務局からのクラスの様子を見に行くようにしています。休憩時間に子どもたちの話を聞いたりして、学習への関心を引き出すことも事務局の役割です。

 

夏季補習クラス、フエ市・ベトナム

夏季補習クラスの様子。ナショナルスタッフのティエンさんも事務局としてクラスに足を運んでくれている。学校側との調整、チューターの意見を聞くこと、子どもたちの気持ちを学習に向けること、など多くの役割を担ってもらっている。本当にありがとうございます(2021年7月)。

 

こうして現地の協力者たちの輪を広げていくことが大切だと思っています。

☆☆写真や文章の著作権は、すべて風人土学舎にあります。無断での転載・複写はお断りしております。☆☆

【2021年夏季補習クラスに関する記事】

学びでつなぐ~絵本のミニトライアル~④ (2021年07月10日)

ベトナムらしいスタート~2021年夏季補習クラス~(2021年07月08日)

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風人土学舎 日本事務局
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