市場からスーパーマーケットへ
ナショナルスタッフのティエンさんからは、色々な活動地の情報をメールやFacebookのメッセージでもらっています。先週、ティエンさんから「イオンモールがフエ市にも出来る」という話を聞いた時にはかなり驚きました(「トゥア・ティエン・フエ省とイオンモールベトナムとの 「トゥア・ティエン・フエ省におけるショッピングモール開発に関する投資及び事業推進に関する包括的覚書」の締結について 」参照)。時代が進むのは本当に早いものです。
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私が最初にフエ市で暮らし始めた2007年には、フエ市はエスカレーターのあるビルが2つしかありませんでした。1つは地元資本のスーパー、もう1つは市内中央にある5つ星ホテルで、どちらもグランドフロアと2階を結ぶものでした。スーパーで頻繁に買いものをする人自体が少なく、「動く階段」に乗ろうとする人もほとんどいませんでした。それから月日が流れて今では、ベトナム資本とタイ資本のスーパーが1軒ずつ営業していています。
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経済が発展する中で、富裕層や中間所得層が増えていくのと同時に1つの社会的関心事が生まれました。「食の安全」です。お金持ちの友人たちの中には「売られているミネラルウォーターはまがい物かもしれない、だからコーラやビールの方が安全だ」と真顔で言う人もいました。病死したブタが安価で取引されていた、という話もありました。また中国から色々な「粗悪品」が陸路で入って来たりもしました。例えば、養鶏場でどんな飼料を食べさせていたかわからない、卵を産まされていたニワトリが食肉にされて冷凍されて入ってきたりしました。そもそも食肉として大丈夫だったのか不安な鶏肉が保存状態もあいまいなまま入ってくるのです。タイから「腐らないスイカ」が入ってきたこともありました。過剰に農薬で処理されいたのです。信頼できるものを買おうと思えば、信頼できる農家から直接買う、少し高くても仕入れが安心できる市場で買い物をする、そして、
スーパーで売られているものの方が信頼できるかもしれない
という気持ちや実際の行動が人々の間に生まれていったように思います。
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また暮らしの中の時間の使い方の変化もありました。日本と同じように、「仕事が終わってからゆっくり買い物をしたい」、「家族でシネマコンプレックスで映画を楽しんだついでに買い物を済ませたい」という「暮らし」がはじまったのです。イオンモールが出来れば、そういった暮らしがより一層広まっていくことと思います。
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大型のショッピングモールが出来ると小さなスーパーや地元の商店が影響を受けることは日本を見るとよくわかります。私たちの活動に関係してきた人たちの中には市場と繋がって生計を立てている人もいるので、仕事に影響が出ないことを願っています。市場の活気ある風景を残しつつ、スーパーではスーパーならではの買い物ができる、そんな発展のかたちになっていくことを心から期待しています。
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投稿者プロフィール
- ベトナムのフエ市在住歴延べ6年。風人土学舎では、日本の事務局業務とフエ市での活動全般のコーディネーションを担当しています。
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