2021年7月の活動報告

日本での新型コロナウイルス感染拡大の第5波。どこまで感染が広まるのかと不安になります。ベトナムでも感染拡大第4波が広がりを見せています(参照:「新型コロナ:2日の市中感染7445人、第4波の死者1660人に 累計感染者16万人超える(2日午後発表)」Vietjo, 2021年8月2日)。私たちの活動地のあるベトナム中部のフエ市からは、もともと多くの人が南部の省都ホーチミン市や隣接する工場地帯のドンナイ省などに出稼ぎに行っていました。この第4波を受けての町のロックダウンや工場の操業停止で仕事を失った人も多く、フエ市に戻って来る人が増加しています。フエ市に戻ってきても仕事があるわけではありません。私たちが活動で知り合った子どもたちの親の中にも、出稼ぎに行っている人たちがいます。彼からは帰らない選択をして感染収束を待っています。1日も早く安全な環境が戻ってくることを願っています。前置きが長くなりました。7月の活動状況は以下の通りです。

1.夏季補習クラスを継続中です。

7月7日(水)からフエ市フーハウ地区にある公立小学校と協働して、夏季補習クラスを行っています。クラスの対象は、小学校1年生を終わったのに、ベトナム語の読み書きが不自由な子どもたちです。中には、アルファベットを覚えられていない子もいます。公立小学校の先生と私たち風人土(かぜひとつち)学舎のチューターで読み書きが安定するまで根気よく教えています。どうして学校に行っていても読み書きが不自由なのかについて考えられる理由は、また別の機会に書きたいと思います。

補習クラス、フエ市・ベトナム

補習クラスは、週3回のペースで開講しています。通常は、協働している公立小学校の先生とフエ大生のチューターが子どもたちに教えてくれています。定期的に風人土学舎のスタッフやアシスタントメンバーがクラスを覗きに行きます。写真はナショナルスタッフのティエンさんがクラスを覗きに行った時のものです。「何回出席できたかな?」と、子どもたちに尋ねている様子です。子どもたちが手にしているのは出席表。自分が出席した日には「○」を付けます。日本のラジオ体操の出席カードみたいな感じです(2021年7月撮影)。

私たちのクラスのモットーは、「先ず、いいところを褒める」です。子どもたちに注意したいことがあったとしても、先ず、いいところを褒めるようにしています。そして、直して欲しいところを説明するようにしています。勉強が出来ない子どもは、「先生に褒められる」経験が少ないように思います。先生に褒められない、先生に怒られる、そうしているうちに勉強が面白くなくなる、勉強したくない、そして勉強ができなくなる・・・、という悪循環をこの夏のうちに断って小学校2年生になって欲しいと願っています。

ナショナルスタッフと公立小学校の先生の意見交換の様子。子どもたちの教室での態度や学習の進捗状況を伺います。この写真の場所は、教室を開いて小学校の校庭です(2021年7月撮影)。

 

2.「学びでつなぐ~絵本のミニトライアル~」を正式な活動にすることにしました。

これまでもご報告してきましたが、フエ大学フエ外国語大学日本語学科(以下、フエ外大)の有志の先生や学生さんと協力して、日本語の絵本をベトナム語に翻訳し子どもたちに読み聞かせをするミニトライアルを正式な活動にすることにしました。フエ外大ではすでに新しい学生メンバーの募集も行って頂けました。また、この活動には日本の大学生にも参加してもらって、「草の根の国際協力活動」を体験してもらえる機会になればと考えています。そのため、大阪にある摂南大学の学生有志のみなさんとフエの絵本翻訳グループの学生のみなさんに参加してもらってオンラインミーティングを開催しました。摂南大学のみなさんの前期試験期間でもあったことから「先ずは自己紹介でも・・」という感じのミーティングとなりました。そして、日本の学生さんたちにも活動に参加頂けることとなりました。

オンラインミーティング・フエ市・ベトナム

第1回目のオンラインミーティングの様子。パソコンやスマートフォンを持っていなくても活動に参加して欲しいと考えているので、あえてベトナム側はフエ大学の施設をお貸りして日本と繋ぎました。コロナ禍でも越日で出来ることを工夫して行うことで何かよい気付きが生まれたら・・と願っています(2021年7月撮影)。

オンラインでも出来ることを考えて、活動地で暮らす子どもたちの教育環境の改善の一助になれば、併せて日本とベトナムの相互理解になればうれしいと思っています。

 

投稿者プロフィール

風人土学舎 日本事務局
風人土学舎 日本事務局
風人土学舎日本事務局です。自然・人びと・生業・文化との関りを知り、それらが共生する未来を目指しています。