【越日交流の準備】ベトナム人の人との距離について②

(前回の記事「【越日交流の準備】ベトナム人の人との距離について①」の続きです)ベトナム人の人との距離は、「物理的」にもとても近いように感じています。経済成長が著しいベトナムなので、色々な物事の変化も激しく、もしかすると私が経験したり見てきたものの中には「今はそんなことないですよ」と言われてしまうものもあると思います。いくつか紹介したいと思います。

 

竹籠を売る、ノン笠を被った女性、ベトナム・フエ省

 

同性で手をつないだり、肩を組んだりするのが平気

私がフエ観光短期大学の先生をしていた頃、女の子の学生がよく手をつないできました。同僚の先生たちにもよく手をつないでこられました。なんでしょ?親愛の情の表現ですかね?結構、夏の暑い日でも指と指を絡めて手をつないでこられました。男の子の学生、おじさんの先生たちが、「そんなに密着しなくても・・」と思うくらい身を寄せて肩を組み合っているのもよく見ました。別にお酒が入っている場でもなく・・。

 

同性で狭いベットで一緒にお昼寝も平気

ベトナムにはお昼寝の習慣があります。私もお昼休憩の時間に10分ほどお昼寝をして、すっきりとした気分で午後の仕事に入るようにしていました。仕事で農村部に行くと食堂もあるかないか、という場合もありました。食堂がなかったりすると材料代を払って村の人の家で料理をしてもらい、一緒にお昼食べたりすることもありました。お昼ごはんのあとには、「お昼寝もしてって」と言ってもらって、人の家のベットをお借りして昼寝。日本だと変ですよね。シングルベットに大人の女性3人で寝たこともありました。慣れたら普通でした。

 

大人数での雑魚寝も平気

人との距離が近いのが平気だと、僻地に調査や研修旅行に行くことが本当に楽でした。宿などない村に調査や研修に行く際に「一人一人部屋で」というのは、選択肢としてないのです。下の写真は、ベトナムとラオスの国境近くにある少数民族集落にある日本風に言うと公民館です。

少数民族の公民館、ベトナム・フエ省

トゥアティエン・フエ省の山岳地域は、ラオスと接している。そこに暮らす少数民族の中には、伝統的に高床式の住居で暮らしていた人たちがいる(2008年8月撮影)。

この公民館のある村は、ベトナム戦争の際の有名な激戦地の1つでした。村の人から当時の話を聞くという研修旅行の際に、この公民館に泊まらせてもらいました。先生は一人1枚の毛布を準備しましたが、学生たちは二人で1枚くらいの毛布しか準備しなかった記憶があります。

公民館の中で雑魚寝、フエ省・ベトナム

公民館の中の様子。この写真を撮影した時は、夜に村の人の踊りや音楽を聞かせてもらって、公民館でみんなで雑魚寝した。30名以上で一緒に寝たと思う(2008年11月撮影)。

 

子どもを抱っこするのが上手

ベトナムの空港や駅など多くの人が集まる場所で子どもの泣き声が聞こえても、怪訝な顔をする人はいません。「どうしたの?」と心配して近づき、抱き上げてあやし出すことも珍しくありません。それは、男性、女性を問わずです。大勢で食事をして子どもがぐずり出したとしても、店員さんがあやしてくれることもよくあります。それは、町の食堂であっても、5つ星ホテルであってもです。日本だと「人のお子さんだし・・」という遠慮や、「家の子に何か?」といった親の抗議があるかもしれません。でも、ベトナムでは「子どもは泣くもの」と社会が受け入れているように感じます。日本もそうなったら、悩める若いママさんも減るんでは・・?と思ったりします。

ベトナム人は子ども好き、フエ市・ベトナム

ベトナム人は、子どもが大好きだと思う。写真は、フエ観光短大の教員や職員の子どもたちを招いた時の様子。職場が主催の家族で参加できるイベントも多かった(2007年7月撮影)。

 

ちょっと、逸れますが・・「けんかしても仲直りするのが早い?」

これも人との距離が近いからかな?と思っているのですが、ベトナム人は、けんかしても仲直りするのが早いというか、上手なように思います。「いい大人が、そんな言い合いしたら、あかんやろー」というような怒鳴り合いをしても、翌日ケロっとした様子の同僚たちを何度も見てきて、なんかいいな・・と思わされました。心底信頼しているから、どんなに言い合いしても平気になれるのかな、と思わされました。個人差がある話だと思いますが、何人ものベトナム赴任の経験のある知人も経験していることだったので書いておきたいと思いました。

 

次回は、ベトナムにもある「内と外」の感覚について、書きたいと思います。

投稿者プロフィール

高木佳子(Takagi Yoshiko)
高木佳子(Takagi Yoshiko)風人土学舎 日本事務局担当
ベトナムのフエ市在住歴延べ6年。風人土学舎では、日本の事務局業務とフエ市での活動全般のコーディネーションを担当しています。