学びでつなぐ~絵本のミニトライアル~
「絵本」に思い出のある日本人は多いことと思います。私は、アンパンマンが大好きでした。今はヨシタケシンスケさんの大ファンです。祖母や母に読んでもらった絵本、幼稚園の時にお友達たちと読んだ絵本。空想の世界に入っていける楽しさ。そして、私が小学生の頃は、学校の近くの公立図書館の前にある公園に紙芝居屋さんが出ていて、片抜きをしながら紙芝居を聞くのが本当に楽しかったものです。紙芝居に聞き入っていた頃は、もうちゃんと本をかりて読んでいたと思います。絵本や紙芝居は、「本の楽しさ」を知るきっかけ作りになってくれていたのだと思います。
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日本の絵本や絵本を読み聞かせるということをベトナムでやりたいな、と思ってなかなか手をつけられずにいました。それにはいくつか理由がありました。先ず、日本の絵本を相当の数べトナムに持ち込んだ場合、検閲を受けることになります。政治や宗教に関係するものは持ち込めません(持ち込むつもりもないですが)。また、「中古の絵本を海外の活動で使う」というのはけっして目新しい活動ではないのですが、「著作権」をどう考えればいいのかという議論がよくなされていることも耳にしてきました。面倒なことになるならやらない方がいいか、と少し消極的になっていた部分もありました。
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私たちの活動地であるベトナム中部のフエ市には、フエ外国語大学があり日本語科があります。こんなお願いをしてみました。
「日本の絵本を大学に寄贈させてください。ただし、風人土学舎と共有することとし、私たちの活動に絵本を使わせてください。寄贈した絵本をベトナム語に翻訳する勉強会を開くようにしますので、大学生に参加してもらってください。訳せたものを、私たちの活動地に暮らす小学生たちに読み聞かせてもらえませんか?」
ナショナルスタッフのティエンさんの熱意もあり、フエ外国語大学の日本語学科長の先生も動いてくださいました。題して「絵本ミニトライアル」。10名の日本語科の学生さんが参加してくれることになりました。翻訳は簡単なようで難しい作業ですし、「子どもたちを楽しませる」という要素も必要です。また、日本の様子など、わからないこともたくさん出てくることと思います。ですので、少しずつ訳してもらってわかないところは、フエ外大の先生やティエンさんが解説するようにし、先生やティエンさんでもわからない点は私がオンラインで説明する体制を作ることにしました。
日本語を学ぶ大学生たちが日本の絵本を学び、そこで学んだ成果を、小学生たちに披露してもらうーー、披露の場は、6月開講予定の小学1年生を対象とした夏休み補習クラスです。大学生たちには、自分が勉強したことが他の人のためにもなるという経験を通じて、より日本語を学ぶ楽しさを知って欲しいと願っています。そして、夏休み補習クラスは何らかの困難を抱えた家庭の子どもたちを対象としています。絵本を読み聞かせてもらうことで、空想の世界に翼を広げる楽しさ、外国のことを知る面白さを知って、「本を読んでみたい」という気持ちを持ってもらえるようになれば、と願っています。
さて、どうなりますか。楽しみにして頂ければと思います。なお、この活動は2021年8月までをトライアル期間として9月以降に多くの方々にもご参加頂けるようなものに育てていきたいと考えています。日本事情の説明をして頂ける方、絵本の寄贈に協力頂ける方、大学生たちとオンラインで交流してみたい方、などなど、つながっていけますことを期待しています。
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