2022年10月の活動報告

日本は秋も深まり、紅葉がきれいな季節になりました。私たちの活動地であるベトナム中部のフエ市は雨季の真っただ中ですが、洪水になったような報告は1回だけで安心しているところです。さて、10月の活動報告です。

2022年10月受け入れ児童とチューター

学習支援教室にて。通ってくる子どもたちは主に小学校
2年生。写真中央は指導役のチューター(2022年10月撮影)。

新しい子どもたちを向かえて学習支援教室を再開しました

現在、私たちの学習支援教室は、教室をお借りしているフエ市立フーハウ小学校の先生方から紹介して頂いた子どもたちを対象に行っています。学校でも独自の補習クラスを開いている中で、私たちの教室には学力面と家庭に課題にある子どもたちを預かっています。今期は小学校の先生たちと話し合い、2年生13名と学力が追い付いていない4年生1人の合計14人を預かることになりました。

チューターたちと事務局は月に1回顔を合わせてミーティングをしている。チューター同士もクラスで教える内容や子どもたちの様子を直接会ったり、チャットやメッセージを使って情報交換している(2022年10月撮影)。

教えるのはフエ市内に暮らす大学生や短大生です。私たちは彼らのことをチューターと呼んでいます。チューター自身も片親だったり、両親が長期間の出稼ぎに出ているなどの家庭に課題を抱えています。そのため、私たち、風人土(かぜひとつち)学舎から奨学金(返済の必要はありません)を支給しています。現在チューターは3名いて、ベトナム語担当、算数担当、読書やお絵描きといった活動の担当を分担してくれています。私たちの教室では、学校の復習をしていて、一人でも多くの子が教室で困らないようにサポートをしています。

新しい子どもたちの家庭を知ることも大切です

新しく子どもたちを受けれると家庭訪問をするようにしています。家の状態、家族の状況、保護者の勉強に対する関心を知ることは私たちにとって大切なことです。今回も数名の字が読めない保護者や大人になってから地域の識字クラスに通ったという保護者がいました。こういう保護者たちが直面する社会での問題は多くあります。また「子どもや孫の勉強を見てやりたいのに見てやることが出来ない」という悔しいというか、悲しい思いも経験している様子です。

「学校からこの教室のことを聞いて、是非参加させたいと思った。私は字が読めないから」

ということを何度も聞いてきました。「最低限の教育を授けたい」という切なる願いを私たちは受け止めと行きたいと思っています。

夜遅くまで親と働いている子もいます

以前に「児童労働のこと」(2022年4月19日)を書いたことがありました。この記事の中に、ピーナッツ売りのことも書きました。フエでは代表的な貧困層の人たちの仕事です。今回クラスに受け入れた子どもたちの中に、ピーナッツ売りを生業にしている母親の子がいます。子も親について夜遅くまでピーナッツを売り歩いています。「(私たちの教室を)早退させてくれ」と何度か母親は言ってきたそうです。子の方は「教室に通いたい」と何度も言ったそうです。チューターたちは、なんとかこの子に教室を続けて欲しいと考えてくれている様子です。

私はこのピーナッツ売りの仕事を見るのが本当につらいです。子どもは食堂やレストランにピーナッツを小分けにした袋を抱えてやってきます。そして食事をしているテーブルを回ります。実際に汚い身なりの子どもたちもいるので客からはさげすんだような目でみられ、店の主人たちからは野良犬のように追い払われます。そういう扱いを子どものころに受けることがどんなにつらいことかと思うと胸が痛みます。私がフエで暮らしていた時、友人たちは1袋5,000ベトナムドン(約28円)くらいだと言っていました。できるだけ買ってやろう思って呼び止めていたのですが、向こうも必死なので10倍くらいの値段をふっかけられました。そんな値段だったら買わないと言うと恨めしそうな目をして見つめてこられました。高値で買うのは彼らを憐れむことです。それは絶対にしたくないことだったので、値段を必死で交渉して5,000ベトナムドンまで下がれば買っていました。大人相手に値段交渉に挑む彼らは大変にたくましいです。しかし、それを小学校2年生の子が本当は子どもらしく過ごせるはずの時間にする必要ないことです。

いつになったら、フエからピーナッツ売りの子がいなくなるのだろう、一人でもいなくなってくれることを願っています。

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風人土学舎 日本事務局
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風人土学舎日本事務局です。自然・人びと・生業・文化との関りを知り、それらが共生する未来を目指しています。